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ズームレンズの選び方 スポッティング向け

ここでは羽田空港と成田空港の代表的な撮影スポットでスポッティングする（民間機をほぼ真横から撮る）のに必要なズームレンズの選び方を紹介します。軍用機やヘリコプターなど（AFの速さや耐候性などが求められる）は意識していません。

Step1 飛行機の全長を確認する
下表は主な航空会社の定期便に使用されている大型機（上位8機種）と小型機（下位6機種）の全長です。

機種	全長
大型機（上位8機種）
Boeing 747-8i	76.25m
Airbus A340-600	75.36m
Airbus A350-1000	73.79m
Airbus A380-800	72.72m
Boeing 747-400/ER	70.66m
Boeing 787-10	68.00m
Airbus A350-900	66.80m
Boeing 777-300/ER	64.80m
小型機（下位6機種）
Boeing 737 MAX 8	39.50m
Boeing 737-800	39.50m
Airbus A320	37.57m
Embraer E190	36.24m
Boeing 737-700	33.60m
Bombardier DHC-8Q/400	32.84m

最長のBoeing 747-8iは76.25m、Bombardier DHC-8Q/400は半分以下の32.84m、この範囲を真横から撮れるレンズが必要です。さらに短い飛行機（Bizなど）もありますが、ほとんどの飛行機はこの範囲に収まります。

Step2 撮影スポットでの作例の焦点距離を確認する
以下は代表的な撮影スポットにおける大型機と小型機の作例です。大型機を真横から撮れる焦点距離が広角端（ワイド端）、小型機の焦点距離が望遠端（テレ端）として求められます。実際の焦点距離は撮影する公園内や展望デッキでの立ち位置などにより変化するため余裕を持って下さい。

撮影スポット			作例（35mm換算）	写真
NRT	さくらの山	Runway A/16Rの到着便（大型機）	97.5mm	作例1
		Runway A/16Rの到着便（小型機）	232.5mm
		誘導路の出発便（大型機）	202.5mm
		誘導路の出発便（小型機）	375mm
	ひこうきの丘	Runway A/34Lの到着便（大型機）	97.5mm	作例2
		Runway A/34Lの到着便（小型機）	285mm
		誘導路の出発便（大型機）	255mm
	十余三東雲の丘	誘導路の到着便（大型機）	57mm	作例3
		誘導路の到着便（小型機）	97.5mm
		Runway B/34Rの到着便（小型機）	270mm
	第1ターミナル	エプロンの出発便（大型機）	75.0mm	作例4
		手前の誘導路（大型機）	123mm
		Runway A/34Lの出発便（大型機）	225mm
	第2ターミナル	エプロンの出発便（大型機）	69mm	作例5
		誘導路の到着便（大型機）	277.5mm
		Runway B/34Rの到着便（大型機）	375mm
HND	第1ターミナル	誘導路の出発便（大型機）	150mm	作例6
	第1ターミナル	Runway A/16Rの出発便（小型機）	345mm	作例6
	第2ターミナル	エプロンの出発便（大型機）	69mm	作例7
		エプロンの出発便（小型機）	123mm
		Runway C/34Rの出発便（中型機）	330mm
	第3ターミナル	エプロンの出発便（大型機）	63mm	作例8
		手前の誘導路の出発便（大型機）	183mm
		Runway A/16Rの出発便（大型機）	360mm

Step3 作例からレンズに求められるレンジ（焦点距離の範囲）を確認する
作例の焦点距離は35mm換算で最短57mm、最長375mmなので下表のレンジが求められます。なお、空港から離れた撮影スポットや真横ではないタイミングで撮影すると望遠端はさらに必要となります。

機種（撮像素子のフォーマット）	広角端（ワイド端）	望遠端（テレ端）
35mmフルサイズ	57mm	375mm
APS-C（Canon）	35.6mm	234.4mm
APS-C（Nikon/PENTAX/SONY）	38mm	250mm
マイクロフォーサーズ（OLYMPUS）	28.5mm	187.5mm

Step4 カメラのマウントに対応する販売中のレンズを選択する
以下は純正品で価格.comに販売価格が登録（2023年7月）されているズームレンズの例です。最初に望遠ズームを決めて、次に標準ズームまたは広角ズームを単純に焦点距離で選択（価格や重量などは意識していない）しました。

カメラ（撮像素子のフォーマット）	ズームレンズ（マウント別）
Canon 35mmフルサイズ	RF 100-400mm F5.6-8 IS USM RF 24-105mm F4-7.1 IS STM
Canon 35mmフルサイズ	EF 100-400mm F4.5-5.6L IS II USM EF 24-105mm F4L IS II USM
Canon APS-C	RF 100-400mm F5.6-8 IS USM RF-S 18-150mm F3.5-6.3 IS STM
	EF-S 55-250mm F4-5.6 IS II EF-S 18-55mm F4-5.6 IS STM
	EF-M 55-200mm F4.5-6.3 IS STM EF-M 15-45mm F3.5-6.3 IS STM
Nikon 35mmフルサイズ	NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR
Nikon 35mmフルサイズ	AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR AF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR
Nikon APS-C	NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR
Nikon APS-C	AF-P NIKKOR 70-300mm f/4.5-5.6E ED VR AF-S DX Zoom-Nikkor 18-70mm f/3.5-4.5G IF-ED
OLYMPUS マイクロフォーサーズ	M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 II M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II
PENTAX 35mmフルサイズ	HD PENTAX-D FA 150-450mm F4.5-5.6ED DC AW HD PENTAX-D FA 70-210mm F4ED SDM WR HD PENTAX-D FA 28-105mm F3.5-5.6ED DC WR
PENTAX APS-C	HD PENTAX-DA 55-300mm F4.5-6.3ED PLM WR RE HD PENTAX-DA 16-85mm F3.5-5.6ED DC WR
SONY 35mmフルサイズ	FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS SEL100400GM FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G
SONY APS-C	E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS SEL70350G E PZ 18-105mm F4 G OSS SELP18105G
SONY APS-C	DT 18-250mm F3.5-6.3 SAL18250

（参考）ズームレンズの特性とレンズの選択
ズームレンズには物理的な制約などにより以下の特性があるので参考にして下さい。

・35-65mm（35mm換算）のレンジをカバーするレンズは標準ズーム、35mm未満は広角ズーム、65mm超は望遠ズームに分類される
・ズーム倍率（望遠端/広角端、100-400mmは4倍=400/100）が3倍を超えるレンズは高倍率ズームに分類され画質などが低下しやすい
・機動力（携帯性や速写力）と光学性能（高画質など）は両立しにくい、究極の機動力は軽い高倍率ズーム1本で究極の光学性能は重い低倍率ズームを多数
・明るい（f値またはF値が小さい）レンズは夜間撮影に向くが、大きく（フィルター径、太さや長さ）重く高価格になりやすい
・暗い（f値またはF値が大きい）レンズは夜間撮影に向かないが、小さく（フィルター径、太さや長さ）軽く低価格になりやすい
・ズーミングするとレンズ内に外気が入るため埃や水（雨滴や雪なども）が侵入しやすい（防塵防滴設計のレンズもある）
・キットレンズ（撒き餌レンズ）を無条件に敬遠する理由はない、大量生産されると低価格に
・高価格のレンズを無条件に選択する理由はない、少量生産されると高価格に
・テレコンバーターやワイドコンバーターなどを使うとレンズが暗くなりAFにも悪影響が出やすい
・マウントアダプターは純正品+純正レンズでも制約に注意（使用不可も、予め使用説明書を確認）

コスト、重量や大きさなどを抑える一般的な方法です。

・下位ランクのレンズを選択する
・レンジ（焦点距離）が重複するレンズを選択する
・SIGMAやTamronなど純正以外のレンズを選択する
・望遠端（テレ端）を300mmに抑えて高倍率ズーム1本を選択する
・マウントアダプターを購入して手持ちのレンズを活用する
・手持ちのレンズを売却または下取りに出す
・ボディとレンズを売却または下取りして新たにシステムを再構築

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