デジタルカメラの基本的な撮り方
カメラの操作方法はメーカーや機種によって異なりますがデジタルカメラとしての撮り方は同じです。
最初は基本的な4種類の撮り方をマスターしましょう。
A.デジタル一眼レフ/ミラーレス一眼の撮り方(1枚目)
1.撮るもの(被写体)を決める
2.フレーミング(撮る方向と写す範囲)とパースペクティブ(遠近感)を考える
3.パースペクティブに合ったレンズをマウントする
4.撮影条件に応じたPASMモードにセットする
5.撮影条件に最適なISO感度にセットする
6.撮影条件に合わせて絞りとシャッター速度をセットする
7.撮影条件により露出補正をセットする
8.フレーミングに合わせて横または縦にカメラを水平にしっかり構える
9.ズーミングしてファインダーに写す範囲が見えるようにする(単焦点レンズはなし)
10.被写体を捉えてAFが合焦したら撮りたい位置でシャッターを切る
B.デジタル一眼レフ/ミラーレス一眼の撮り方(撮影条件が同じ2枚目以後)
1.フレーミングに合わせて横または縦にカメラを水平にしっかり構える
2.ズーミングしてファインダーに写す範囲が見えるようにする(単焦点レンズはなし)
3.被写体を捉えてAFが合焦したら撮りたい位置でシャッターを切る
C.コンパクトデジカメの撮り方(1枚目)
1.撮るもの(被写体)を決める
2.フレーミング(撮る方向と写す範囲)を考える
3.撮影条件に応じたシーンモード(A.4〜7に相当)に設定する
4.フレーミングに合わせて横または縦にカメラを水平にしっかり構える
5.ズーミングしてファインダーに写す範囲が見えるようにする
6.被写体を捉えてAFが合焦したら撮りたい位置でシャッターを切る
D.コンパクトデジカメの撮り方(撮影条件が同じ2枚目以後)
1.フレーミングに合わせて横または縦にカメラを水平にしっかり構える
2.ズーミングしてファインダーに写す範囲が見えるようにする
3.被写体を捉えてAFが合焦したら撮りたい位置でシャッターを切る
B.とD.は同じでコンパクトデジカメがデジタル一眼レフ/ミラーレス一眼より簡単なのは1枚目だけです。
デジタル一眼レフ/ミラーレス一眼はレンズを自由に選べて撮影条件に最適化しやすいカメラです。
撮り方が分かったらA1.〜A10.のポイントを理解しましょう。
A1.撮るもの(被写体)
セキュリティ関連の施設や装置などは撮らない、見知らぬ他人は鮮明に写さないことを守れば基本的に何を撮ってもOKです。
子供がクレヨンで描く絵を想像して下さい。
空(太陽、雲)、背景(山河、草木、街並み、建物・室内、人・動物、道路・地面など)、撮るもの(被写体)
人工的なスタジオ内の商業撮影を除き1枚の写真にはいろいろなものが写ります。
撮るもの(被写体)とはメインテーマです。
A2.フレーミング(撮る方向と写す範囲)とパースペクティブ(遠近感)
プロが最も拘り初心者と大きな差が出やすいのはこれです。
フレーミングとパースペクティブは撮影する時に持っているレンズ(広角系、望遠系、単焦点)を前提に考えます。
フレーミングの方法には足し算と引き算があります。
足し算はメインテーマ(被写体)に加えるもの(空、背景)、引き算は写るものをカットすることです。
メインテーマは母親で足し算するのは子供、メインテーマは富士山でカットするのは手前の道路という感じです。
日本人はテーマの組み合わせ(花札の花見に一杯、のようなコラボ感覚)、外人はメインテーマに絞る(肖像画など)ことが多いようです。
同じレベルのテーマが2つ以上あると良くないという説もありますが撮るもの次第です。
パースペクティブ(遠近感)には物理的なものと視覚的なものがあります。
物理的なパースペクティブ(近いものは遠いものより手前に写る)は撮影する立ち位置により自動的に決まります。
視覚的なパースペクティブは広角系では歪曲効果(手前が大きく写る)、望遠系では圧縮効果(背景が大きく写る)です。
A3.パースペクティブに合ったレンズ
人の視覚的なパースペクティブに近いのは35mm(APS-C)と50mm(フルサイズ)で素直な感じに写ります。
パースペクティブを強調したい場合は広角系または望遠系のレンズを使います。
なお、レンズキット(APS-C)の標準ズームレンズは18〜55mmなどでやや広角〜やや望遠をカバーします。
A4.撮影条件に応じたPASMモード
PASMとはProgram(自動)Aperture(絞り優先、シャッター速度自動)Shutter speed(シャッター速度優先、絞り自動)Manual(手動)の略です。
写真の基本は適正露出にすることでシャドウ(暗部)が潰れずハイライト(明部)は真っ白に飛ばないように設定します。
デジタルカメラの露出(撮像素子、CMOSなどに与える光量)はレンズの絞りとボディのシャッター速度で決まります。
P(自動)はカメラにお任せ、M(手動)は両方とも自分で設定します。
撮るものが動いているとき(動体)はS(シャッター速度優先)、景色など動かないもの(静止)はA(絞り優先)を使います。
A7.露出補正は一般的に絞り3段分が限度なのできつい逆光や明暗差が激しい ときはM(手動)にします。
プロはM(手動)しか使わないという人もいますが、自動露出の信頼性が向上したので撮影条件によっては利用されます。
A5.撮影条件に最適なISO感度
ISO感度とはデジタルカメラの撮像素子(CMOSなど)の感度で数値が大きいのは高感度、小さいのは低感度です。
ISO感度の範囲はカメラの基本仕様のため機種と世代(技術の進歩)で異なりますが現在は100〜25600が普及しています。
原理的に低感度の方がきれいに写りますが仕様として最適な感度は公表されていません。
常用感度は100,200,400,640などで屋内や夜間など暗いときは800,1250,1600,2500,3200のように上げます。
A6.撮影条件に合わせて、絞りとシャッター速度をセット
デジタル世代のレンズは絞りF9以下の写りが良いと言われています。
被写界深度(ピントの合う範囲、奥行き)を深くハッキリ写したい場合は絞り(f9に近づける)背景などをぼかしたい場合は開け(レンズの解放値に近づける)ます。
シャッター速度は動体ブレを防ぐのには1/500sec(60km/h,1667cm/sec,鉄道など)1/800sec(100km/h,2778cm/sec,高速道路など)1/2000sec(250Km/h,6945cm/sec,飛行機など)を目安にします。
撮るものが遠いと半分以下でも止まり近いと動体ブレになります。
A7.撮影条件により、露出補正をセット
P(自動)S(シャッター速度優先)A(絞り優先)は適正露出を目指して自動設定されますが、強い明暗差や被写体が小さい時は失敗しやすくなります。
試し撮りができる場合はヒストグラムを確認してシャドウに偏っていたら+補正、ハイライトに偏っていたら-補正します。
動体で試し撮りができない場合(撮るものや代替が全くない)は勘に頼ることになり画像が荒れない程度の+-0.7以下を目安に補正します。
A8.フレーミングに合わせて横または縦にカメラを水平にしっかり構える
Portrait(縦構図)の和訳は肖像画、Landscape(横構図)は風景画です。
ディスプレイは横長の長方形なので横構図の方が大きくして見ることができます。
スマホやiPhoneの画面は縦長の長方形ですがWebの基本は横構図(Instagramは正方形)なので縦構図は小さく見えることになり撮る人は減りました。
銀塩時代は斜めに撮ってプリントをアルバムに貼る人もいましたが、ディスプレイでは首を傾けて見ることになり、組写真や特別な意図を感じられない限り初歩的な失敗作と看做されます。
デジタル時代は縦構図、横構図ともに水平をキープして撮ることが基本です。
現在では自動手振れ補正が普及して手振れによる失敗は激減しました。
しかし、撮像素子が高画素数になりズームレンズの焦点距離が伸びたので肘を体に付けてしっかり構えないと手振れは発生します。
A9.ズーミングしてファインダーに写す範囲が見えるように
デジタル世代はズームレンズが標準的ですがズーミングしながらフレームに被写体を捉えるのは意外に難題です。
初心者が失敗する原因の大半はフレームアウト(被写体がはみ出る)なので注意が必要です。
動体を撮るときは撮影するズームリングの位置(焦点距離)を覚えて予めズームしておくと失敗は減らせます。
なお、ズームレンズへの埃の侵入は避けられませんが撮らないときは最も広角の位置にズームしておくと埃対策(撮像素子にゴミが付着しにくい)になります。
A10.被写体を捉えて、AFが合焦したら撮りたい位置でシャッター
被写体を捉えるのは望遠系や速い動体になるほど難易度が上がります。
道路や線路との場合は動くルートが決まっているので予め待ち構えると失敗は減らせます。
飛行機の場合はルートを予測するかトレース(レンズを動体に向け続ける)を練習します。
Q1.A3.〜A7.の設定をもっと簡単にする方法は?
Ans.実際に撮影するときはA3.〜A7.の内、撮影条件が変わって変更が必要なものをセットします。
次のような自分流の基本パターン(定番はありません)を決めておくと便利です。
日中晴れ(動体以外)- 標準ズーム、ISO200、A(絞り優先)F9
日中曇り(動体以外)- 標準ズーム、ISO400、A(絞り優先)F6.4
日中晴れ(動体)- 標準ズーム、ISO400、S(シャッター速度優先)1/1000sec
日中曇り(動体)- 標準ズーム、ISO800、S(シャッター速度優先)1/800sec
建物内、地下(動体以外)- 標準ズーム、ISO800、S(シャッター速度優先)1/60sec
夕方(動体以外)- 標準ズーム、ISO800、S(シャッター速度優先)1/60sec
夕方(動体)- 標準ズーム、ISO1000、S(シャッター速度優先)1/500sec
夜間(動体以外)- 35mm単焦点、ISO800、S(シャッター速度優先)1/15sec
夜間(動体)- 35mm単焦点、ISO1600、S(シャッター速度優先)1/500sec
Q2.記録画素数(画像サイズ)と画質モードの設定は?
Ans.普及しているメモリーカードの容量は16GB以上あるのでJPEGの最大、最高画質(FINE,L)が定番です。
RAWは万能ではなく連写枚数の制約などもあり、撮影枚数が多いと現像するための時間が長くなり必要なHDDの容量は大きくなります。
しかし、撮影条件が特に厳しい場合はRAW+JPEGで撮っておくと保険になります。
Q3.シーンモードやP(自動)の使い途は?
Ans.自分のイメージに合う写真が撮れる撮影条件では使えますが、基本のASMで撮れない写真はありません。
Q4.測光モードやオートブラケティングの設定は?
Ans.撮影条件がよほど厳しくない限り標準設定(マルチパターン測光、ブラケティングなし)のままで問題ありません。
気になる場合は試し撮りを行い、適正露出にならない場合はM(手動)にするか設定を変更します。
Q5.アクティブD-ライティングの設定は?
Ans.強め以上はシャドウの荒れが出やすくなるので弱めまたは標準を推奨します。
Q6.AFエリアモードの設定は?
Ans.撮影条件がよほど厳しくない限りオートエリアAFモードで問題ありません。
気になる場合は試し撮りを行い、意図したボイントで合焦しない場合は設定を変更、またはMF(マニュアル)にします。
Q7.ホワイトバランスの設定は?
Ans.特殊な照明下などの撮影条件でない限り標準設定(オート)のままで問題ありません。
気になる場合は試し撮りを行い、ホワイトバランスが崩れていたら設定を変更します。
Q8.連写の設定は?
Ans.シングル(S)に設定して意図した瞬間に撮るのが理想ですが連写(H)に設定しておいてシャッターボタンを軽く押してシングル撮影すると失敗する可能性を減らせるので推奨します。連写(H)を乱用すると1日に1,000枚は軽く超えてバッテリーが不足、撮影後に写真を整理する時間が膨大になります。
Q9.イメージセンサークリーニングの設定は?
Ans.イメージセンサークリーニングを行っている間(10秒程度)は撮影不能なので手動に設定して撮影開始、レンズ交換後と撮影終了の際にクリーニングすることを推奨します。
Q10.ピクチャーコントロールの設定は?
Ans.画作りなので好みの問題になりますがスタンダードまたはフラットの設定で撮影しても後からPhotoshopなどで似たような補正(レタッチ)はできます。しかし、スタンダードまたはフラット以外に設定した場合、Photoshopなどでスタンダードやフラットのように戻すことは極めて困難でモノクロームなど不可能なものもあります。動体では無理ですがスタンダードやフラットの設定でも撮っておくことを推奨します。
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